HISTORY

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Reggae レゲエ史

サウンドシステム、スタジオ、レコード、ダンス。

2010s-Now

Modern Reggae / New Dancehall

配信、SNS、フェス、越境コラボ。レゲエは今も動いている。

Reggae RevivalはRootsの精神を今の録音感で鳴らし、新しいDancehallはSNS、ショート動画、Afrobeats、UKシーンとも自然に交差する。懐古ではなく、古い低音を持ったまま更新している。

2010年代、レゲエは二正面で更新される。ひとつはReggae Revival——ChronixxProtoje、そしてKoffee。ルーツの精神性を現代の音像で鳴らす世代が現れ、2020年にはKoffeeが史上最年少でグラミーのレゲエ部門を獲った。もうひとつはダンスホールの新世代。PopcaanはトロントのOVOと直結し、Skillibengらはトラップ以降の感覚を島の言葉で鳴らす。制作国はもう一国に収まらない。ジャマイカ、ロンドン、トロント、東京——ファイルは国境を無視して往復し、レゲエの形はかつてなく柔らかくなった。それでも低音の置き方だけは、60年前のサウンドシステムの記憶を保ったままだ。

聴きどころ

生音の温度とデジタルの抜け、歌のメロディ、SNSで切り抜かれるフック。昔のレゲエを引用している曲でも、ミックスはかなり現代的。

Timeline

2010s

Reggae Revivalが世界のリスナーに届く

2018

KoffeeProtojeChronixx周辺が新しい入口になる

2020s

TikTok、Afrobeats、UKシーン、R&Bと自然に交差

now

フェス、ブランド、配信プレイリストが発見のきっかけになる

顔ぶれ/現場/レーベル

背景

Revivalは懐古ではない

Reggae Revivalは古いRootsの再演ではない。録音の抜け、映像、ファッション、言葉の選び方は今のもの。古い精神性を持ちながら、現代のリスナーの耳に届く形へ変えている。

入口が分散した時代

今はレコード店だけでなく、YouTube、TikTok、フェス動画、Spotifyのプレイリスト、ファッション記事から入れる。入口が軽くなったぶん、どこで低音と現場に接続するかが大事になる。

日本の現場では

日本の若いリスナーには、チル、ヒップホップ、R&B、ベースミュージック経由で入るルートが増えている。入口は広い。低音と現場に触れると、急に距離が縮まる。

ジャケット / 映像 / 服

フェスウェア、ヴィンテージT、スニーカー、クラブ仕様の軽い装備。Rootsの色をそのまま着るより、自分の街の服に混ぜる方が今っぽい。

関連キーワード

音源・人物・現場

Archive

要点

2010年代以降は、Reggae Revival、New Dancehall、Afrobeats、SNS、フェスが同時に走る。古いRootsの再現ではなく、現在形の低音として見る。

Reggae Revivalは懐古ではない

ChronixxProtoje、Jesse Royal、Koffee周辺は、Rootsの言葉を現代のミックスと配信環境で鳴らした。古い音に戻ったのではなく、低音の芯を残して更新した。

DancehallとAfrobeatsの近さ

2010年代後半以降、ジャマイカ、アフリカ、UK、USのポップが自然に混ざる場面が増えた。ビートの出どころより、どのリズム感がどの街で鳴っているかを見る。

SNSは現場の別出口

ショート動画で広がるフックも、フェスでForwardが起きる曲も、どちらも今のレゲエの入口。数字だけでなく、どの現場に戻っていくかまで追う。

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リヴァイヴァルは復古ではない
編集部

2010年代初頭、ジャマイカの若い世代に起きた潮流は、Reggae Revivalと名付けられた。命名者はJA出身の作家/セレクターDutty BookmanChronixxProtojeらの登場を指す言葉として広まり、2015年には米Vogueのウェブ特集が組まれるまでになる。ファッション誌がジャマイカの新世代を特集する——この時点で、ただの懐古趣味でないことは明らかだった。

リヴァイヴァル=復活、と聞くと「昔のレゲエをもう一度」に見える。だが当事者たちの音を聴くと、話はそう単純ではない。Chronixx『Chronology』はルーツの精神性を持ちながら、音像は完全に現代のものだし、KoffeeRapture』に至っては、ダンスホールもアフロビーツも呑み込んだ上で、あの屈託のない声で「Toast」を歌う。復元ではなく、更新。蘇らせているのは音の様式ではなく、音楽が何のためにあるかという態度のほうだ——そう読むのが、この世代には一番フェアだと思う。

数字の節目もある。2020年、KoffeeがEP『Rapture』でグラミーのベスト・レゲエ・アルバムを受賞。史上最年少、そして女性として初だった。マーリーの時代から半世紀、レゲエの「顔」が19歳の女性になった。この交代劇こそ、リヴァイヴァルという言葉の一番正しい使い方かもしれない。

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欧州サウンドシステムの現在——Mungo's Hi Fi
編集部

サウンドシステム文化は博物館に入っていない。その現在形を一つ挙げるなら、スコットランドのグラスゴーにいる。

Mungo's Hi Fiは2000年、Tom TattersallとDouglas Paineの二人が始めたサウンドシステムだ。名前はグラスゴーの守護聖人St Mungoから取られている。ジャマイカの音を鳴らす集団が、あえて自分の街の聖人を名乗る——輸入ではなく、ここに根を張るという宣言が名前に入っている。ジャマイカからおよそ7,500キロ離れた北の街で、自作のスピーカースタックを組み、ダンスを主催し、2005年には自前のレーベルScotch Bonnetを立ち上げた。以来、リリースは90作を超える。

彼らの立ち位置がよくわかるのは、影響源の語り方だ。メンバーのDoug Paineは理想のサウンドマンとしてKing Tubbyを挙げ、その理由を音色ではなく仕事の形に置いている。自分で機材を作り、録音から現場まで全工程を自分の手で通す——Tubbyの流儀そのものを、グラスゴーで再現しているわけだ。スタジオで作り、盤に刻み、自分のスピーカーで鳴らす。この自己完結が、彼らを「レゲエのコピーバンド」ではなく「サウンドシステムの継承者」にしている。

歌い手との仕事も現在形だ。グラスゴー拠点のSoom Tを乗せた「Did You Really Know」(2008)は彼らの代表曲になり、YTやCharlie Pらとの録音が続く。ちなみにSoom Tは、ライプツィヒのJahtariでも歌っている声だ。グラスゴーとライプツィヒ——ジャマイカから遠く離れた欧州の二つの街が、同じ歌い手を介して繋がっている。欧州のダブは、点ではなく生態系として動いている。

キングストンで生まれ、ロンドンに移植された文化が、さらに北へ、内陸へと株分けされていく。低音の重さと、自分の手で全部やる流儀だけを保ったまま。サウンドシステムの歴史は、今も現在進行形で書き足されている。

Lineage

系譜

Essential

この時代の5枚

01
ChronixxChronology』 (2017)

リヴァイヴァル世代の到達点。ルーツは現在形でやれる、の証明

02
KoffeeRapture』 (2019)

史上最年少グラミーの音源。屈託のなさが革命

03
ProtojeAncient Future』 (2015)

名前がすべてを言っている一枚。古代と未来の同居

04
PopcaanWhere We Come From』 (2014)

新世代ダンスホールの原点。ストリートの声のまま世界へ

05
SkillibengCrocodile Teeth』 (2020)

次の時代の型。島のトラップ感覚の代表例

アーティスト

この時代の10組