LESSON / FIELD

現場、はじめての夜まで

FIELD ROUTE

不安をつぶして、朝帰りまで

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不安つぶし

クラブやライブに行ってみたい。

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不安つぶし

クラブやライブに行ってみたい。でも一歩目が出ない——理由はたいてい音楽ではなく、不安だ。だから最初のレベルは、音楽の話をしない。不安を一つずつつぶす。

服装。決まりはない。動きやすくて、汗をかいてもいい服。足元だけは考える——数時間立つので、履き慣れたスニーカーが正解だ。気合いを入れた服で行きたければそれもいい。誰も他人の服を採点していない。

一人参加。まったく問題ない。現場は一人客が普通にいる場所で、むしろ音に集中できる。連れがいないことを気にしているのは自分だけ、というのが実情だ。

金額。イベントによるが、入場料は2,000〜4,000円くらいが相場で、たいてい1ドリンク代(500〜700円)が別に付く。ライブハウスのワンマンならもう少し上がる。事前にイベントページで確認できる。

持ち物。身分証は必須(年齢確認がある。運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きが確実)。あとは小さい鞄か、手ぶらにできる程度の荷物。大きい荷物はクロークやコインロッカーへ。耳栓は、音量が心配なら持っていい。音楽用の耳栓は音質をあまり変えずに音量だけ下げてくれるので、使っている常連は普通にいる。

時間。イベントには昼の部も夜の部もあり、深夜イベントだけが現場ではない。最初は夜21時までに終わるライブや、昼のイベントから入るのも全然アリだ。

不安が半分になったら、次はフライヤーの読み方。あれが読めると、行く前から夜の設計図が見える。

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フライヤーが読める

フライヤーは現場の設計図だ。

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フライヤーが読める

フライヤーは現場の設計図だ。暗号に見える英字の並びは、実は数個の決まり文句でできている。読めるようになると、行く前に夜の中身がだいたいわかる。

LINE UP / ACT。出演者一覧。ここに並ぶ名前の順番と文字の大きさには意味がある。一番大きい名前がその夜の主役(ヘッドライナー)。知らない名前ばかりでも大丈夫、行く前に1〜2組だけ聴いておくと、当日の楽しさが倍になる。

GUEST。外から招かれた出演者。地方のパーティに東京からゲストが来る夜は、地元の熱が一段上がる。

DOOR / ADV。入場料の表記。ADV(前売り)はDOOR(当日)より安い。前売りはプレイガイドか、最近は出演者のSNSから直接、というパターンも多い。

OPEN / START。開場と開演。クラブイベントの場合、OPENの時間に行っても始まったばかりで人はまばらなことが多い。ヘッドライナーの出番は深い時間帯に置かれるのが普通だ。タイムテーブルが事前に出るイベントなら、目当ての時間に合わせて行けばいい。

W / With Flyer。フライヤー提示で割引、の意味。画像保存で有効なことも多い。

そしてフライヤーの下の方、小さい字で書かれた箱(会場)の名前。ここを検索すると、キャパや雰囲気がわかる。100人の箱と1,000人の箱では夜の質が違う。小さい箱ほど音楽との距離が近く、初めてでも意外と居心地がいい。

フライヤーが読めたら、あとは行くだけ——の前に、当日の夜の泳ぎ方をひとつ。

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夜の泳ぎ方

当日の流れを、入口から出口まで通しで書く。

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夜の泳ぎ方

当日の流れを、入口から出口まで通しで書く。初めての夜は、これだけ知っていれば泳げる。

入口。身分証を見せて、入場料+ドリンク代を払う。ドリンクチケットを渡されたら、バーカウンターで好きな飲み物と交換する仕組みだ。酒でなくていい。水やソフトドリンクで通す人は普通にいるし、長い夜ほど水は正解になる。

荷物と場所。上着や鞄はクロークかロッカーへ。身軽になったら、まずフロアの後ろの方か横で音に慣れる。最前に行く義務はない。スピーカーの真ん前は音圧が強烈なので、耳を大事にするなら少し離れた位置がいい。フロアの真ん中より後ろ、というのは音のバランスが一番いい特等席でもある。

過ごし方。ずっと踊っていなくていい。壁際で聴いているだけの人、バーで話している人、いろんな過ごし方が同時にある場所だ。疲れたら休憩スペースか外の空気。スマホでの撮影はイベントと箱によってルールが違うので、周りに合わせるのが無難だ。迷ったら撮らない。目で覚えて帰るほうが、実は記憶に残る。

ピークタイム。夜が深まるにつれて人が増え、ヘッドライナーの時間帯にフロアの熱が最高点に達する。この波を一度体験すると、現場に通う人の気持ちがわかる。スピーカーの低音は、イヤホンでは絶対に届かない周波数で体に当たる。それを確かめに来たのだ。

帰り。終電で帰るのはまったく恥ずかしくない。ヘッドライナーだけ見て帰る客は大勢いる。朝までいた日は、外が明るくなっていて、妙な達成感と空腹がある。その朝の飯がなぜうまいのかについては、うちのコラムニストが連載を一本書いているほどだ。

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常連への道

一度行けたなら、二度目からは景色が変わる。

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常連への道

一度行けたなら、二度目からは景色が変わる。最後のレベルは、現場を「たまに行く場所」から「自分の場所」にする道筋だ。

箱で覚える。良い夜に当たったら、イベント名と箱の名前を覚えておく。同じ箱は音の鳴り方も客層も近いことが多く、「あの箱がやるイベントなら外れが少ない」という自分の基準ができてくる。箱のSNSをフォローすれば、次のイベントが勝手に流れてくる。

人で覚える。あの夜のDJが良かった、あのMCが良かった——名前を覚えて、その人の出演情報を追う。出演者から掘るのは、現場の一番確実な羅針盤だ。BARZINEのアーティスト名鑑は、日本の各地方のアーティストを地域別に引けるようにしてあるので、地元の名前を探すのに使える。

パーティで覚える。定期開催のパーティには、それぞれ性格がある。レゲエの夜、ビートの夜、バトルの夜。自分に合うパーティが一つ見つかると、そこが定点になる。月に一度、決まった場所に帰る感覚。常連というのは、たくさん行く人のことではなく、帰る場所がある人のことだ。

それから、挨拶。何度か通えば、顔を覚えられる。スタッフや隣の客と一言交わすようになったら、もうシーンの一部だ。日本の音楽シーンは、この小さな現場の集まりで、今夜もどこかの箱が開いている。

BARZINEのイベントページは全国のイベント情報を毎日集めている。ニュースは毎朝更新される。現場の帰りに読むもの、次の夜を探すもの——このサイト全体が、ここから先の道具になる。