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DEEP CUTS / TALK

R&BはもうR&Bだけでは足りない

話は、はじめましての雑談から始まる。昔クラブで浴びたR&Bを、今は家の小さい音で聴くKeyY。AmapianoやUKの流れから今のR&Bを見るREI。世代も生活も違う2人で、いまの声の置き場所を話す。

R&BAMAPIANOUK R&BLIFE MUSIC

まず、どこで聴いているか

KeyY

はじめまして。いきなりR&Bの話をするのも変だけど、私はKeyYです。若い頃はクラブでR&Bを浴びていて、今は台所とか車の中で、小さめの音で聴いていることが多いです。

REI

REIです。23歳、だいたい部屋で聴いてます。あと、サボテンに水をやる時。そこにRavyn LenaeとかOdealが流れると、部屋の温度が少し変わるんですよね。

KeyY

サボテンから入るんだ。私は洗濯物を畳んでる時によく流します。昔は夜の音だったものが、今は家の中にもいる。そこは自分でも少し不思議です。

REI

でも、その聴かれ方の変化が大事だと思います。最近のR&Bって、R&Bだけで説明すると負ける感じがある。Ravyn Lenaeは声はR&B。でも『Bird's Eye』ではギターもレゲエポップも変なビートも入る。TylaはAmapianoで腰が動く。OdealはUKの湿度がある。

KeyY

いきなり刺してくるね。私の頃は、もう少し棚が分かれていた気がする。クラブで流れるR&B、夜に聴くR&B、恋愛のR&B。今みたいに最初から溶けてはいなかった。

REI

今は最初から溶けていますね。R&Bが一つの箱というより、声の置き方や感情の温度になっている。

クラブで踊ったR&Bと、家で流れるR&B

KeyY

若い頃はクラブに行っていたから、R&Bは身体で覚えているところがあります。スローでも踊れるし、速くなくても空気が変わる。でも甘いだけじゃない。ちゃんと黒いし、ちゃんと重い。

REI

今のR&Bも、そこは残っています。ただ、鳴る場所が増えた。クラブだけじゃない。スマホ、車、キッチン、家族が寝た後のイヤホン。R&Bが生活に入り込んでいる。

KeyY

家で聴く時って、ジャンルで聴いてない。朝ごはんを作る時、洗濯物を畳む時、これはR&Bかどうかなんて考えない。部屋の空気が少し整うかどうか。そこだけ。

REI

Ravyn Lenaeはまさにそうですね。『Love Me Not』は軽く聴けるけど、軽い曲ではない。メロディが強いし、リズムも古いソウルやポップの記憶を持っている。TikTokで広がっても、曲の芯はちゃんと残っている。

KeyY

TikTokで流行っただけの曲、って感じはしないんだ。

REI

それ、今だと少し違います。TikTokは入口であって、曲の中身とは別の話です。入口が軽いから中身も軽い、とは限らない。

Tylaが変えた身体の置き場所

REI

Tylaの『Water』は大きかったです。AmapianoをPop R&Bの中に入れて、世界的に聴ける形にした。『TYLA』にはSkillibengやTemsも入る。Dancehall、Afrobeats、R&B、Popが一枚の中で並んでいる。

KeyY

『Water』はわかりやすい。でも、ただ流行っただけじゃないと思う。腰のリズムが違う。昔のR&Bの踊り方とも違う。でもクラブでかかったら身体が反応する。

REI

AmapianoはBPMが速すぎない。でも足元が細かい。派手に跳ねるというより、下に沈む。だからR&Bの声と相性がいい。

KeyY

正直、Amapianoって最初、ジャンルの名前として覚えるのに時間がかかった。

REI

そこはわかる。でも、名前を覚えるより先に、身体が沈む感覚のほうを覚えたほうが早いです。ジャンル名より、どう聴かれてるかですね。

ここでちょっとズレる

KeyY

正直に言うと、私はジャンルが混ざること自体は歓迎なんだけど、名前が追いつかなくなる速さには少し置いていかれる感じがある。Amapiano、Afrobeats、Alté……次から次に来ると、覚える前に次が来る。

REI

それ、今だと少し違います。全部覚える必要はないと思うんですよね。名前より先に、自分の部屋でどう鳴るかのほうが早いので。

KeyY

うーん、でもさすがに名前がないと、人に薦める時に困らない?

REI

困らないです。「あの曲みたいな感じ」で十分通じる時代なので。名前を先に覚える聴き方のほうが、今は少数派かもしれません。

KeyY

そこは世代差か、そもそも生活の差なんだろうね。私は名前から入って安心するタイプ。

REI

そこはわかる。でも、どっちが正しいという話でもなくて、多分どこで聴いているかの違いです。

Odealと、大声ではない強さ

REI

Odealは、今のUK R&Bでかなり重要な存在だと思います。Afrobeats、Neo Soul、今のポップまで飲み込んだ声で、ジャンルよりフィーリングで聴かせるタイプ。押しつけが強くない。

KeyY

Odealは派手に押してこないのがいい。歌が近い。家の中で流していても、うるさくない。でも、ちゃんと湿度がある。

REI

UKのR&Bはそこが面白いです。アメリカのメインストリームR&Bより、少し曇っている。でもAfrobeatsやAfroswingの身体性が入ると、ただ暗いだけでは終わらない。

KeyY

明るすぎる音楽もしんどい時があるけど、暗すぎると沈む。Odealみたいな音楽は、ちょうどいい場所にいる。洗い物をしながらでも聴ける。

R&BはもうR&Bだけでは足りない

REI

R&BはもうR&Bだけでは足りない。これは否定ではなく、豊かになったという話です。Amapiano、Afrobeats、Dancehall、Reggae Pop、Neo Soulを吸い込みながら、声の音楽として生きている。

KeyY

それでいいと思う。私の生活も、一つの名前では足りない。クラブに通っていた時間もあれば、今こうして家で音楽を流している時間もある。子どもがサビだけ拾って歌うこともあるくらいで(笑)。そういう複数の時間を持っているから、音楽も一つの名前だけでは足りないんだと思う。

REI

リスナーの生活が、もうジャンルで分かれていないんでしょうね。仕事、家事、恋愛、移動、睡眠。全部が同じスマホの中にある。だから音楽も混ざる。

KeyY

でも、混ざっても芯はある。R&Bの芯は声だと思う。声の近さ。無理に叫ばない強さ。

REI

現代R&Bは、クラブを捨てたわけではない。ただ、クラブだけでは足りなくなった。同じ曲でも、鳴る場所が違うんですよね。それでも通じるから、今のR&Bは面白いんだと思います。

出典

Pitchfork: Ravyn Lenae『Bird's Eye』review The Guardian: Ravyn Lenae『Bird's Eye』review Pitchfork: Tyla『TYLA』review AP: Tyla and amapiano The Guardian: Odeal profile DJ-Fam: music as parent-child communication catalyst

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